昔の便器 |
「便器」といえば、
今は東陶や伊奈など大手のメーカーの、白色華やかな磁器製品を思い浮かべる時代であるが、信楽焼の便器も、結構沢山造られてきたことがわすれがちである。
しかも、どちらかと言えばのぼったい感じの信楽製便器が、今でも多少造られ売り出されていることは、相手が美麗な品物だけに、よけい不思議な感じもする。
汚い話になって失礼ではあるが、信楽便器は「カガミ」という部分が広いために、小便を外へ飛ばさないし、またご婦人方が、くるりと廻って立ち小便?ができる便利さも、信楽便器のカガミの広さゆえ、田舎ではやはり大きめの便器が好まれるそうです。今でも立派に商品として取り扱われています。
この便器は、全て「型押し」による成型法で造られており、タタラを造ってから一枚ずつ型にあてがい、たたいて形を造ってゆくやり方である。だから、ろくろ成型のように多量には出来ない。上型と下型とを別個に造り、これを重ね合わせてつなぐ。脱型後に仕上げるのである。
現在、こうした便器造りに携わっている人は、受注が少ないこともあるが、数人しかいない。 |